国税局の調査部の業務は、どのようなものですか?

税務調査

東京国税局調査部が受け持つのは、資本金1億円以上の法人の調査です。東京国税局には調査第一部~調査第四部が設けられ、それぞれの部は課と部門に分かれていて、それぞれの課と部門は分掌事務を持ち、法令により定められた調査事務をしています。調査第一部にある調査管理課は、調査部を全般的にまとめて、総合調整を行う役割を担っています。

1.調査管理課
調査第一部~調査第四部の事務運営の統一や調整のほか、国際調査課・国際情報第一課・国際情報第二課・調査開発課・特別国税調査官・統括国税調査官の所掌する調査の方針の企画や立案に係ることを担っています。
調査第一部~調査第四部がそれぞれいかなる方針で事務を運営していくのか、そしてそれぞれの部の税務調査の手法・判断・調査件数等が異ならないよう、全般的にバランスが取れるように調整しています。
2.広域情報管理課
特別国税調査官及び統括国税調査官の職務に関する調査のうち連結申告法人に係るものや、国税局長特命事項の企画及び立案に係る事務の総括に関することを担っています。
3.調査総括課
調査総括課はそれぞれの部に置かれていて、調査第一部の調査総括課は、調査第一部の特別国税調査官の職務に係る調査の計画・企画・立案に関することを担っています。また、調査第二部~調査第四部の調査総括課は、それぞれの部の統括国税調査官の職務に係る調査の計画・企画・立案に関することを担っています。特別国税調査官や統括国税調査官部門による調査の年間計画件数や、それぞれの部の実情に合った事務計画を決定したり、実際に調査をした法人の結果を集計する等して、それぞれの調査担当者が効率的な仕事をしたのかを監理したりしています。
そして、国税局長が特別の調査又は検査をすることが必要であると認めた特命事項の調査又は検査に係ることを担っています。これは、事業形態が複雑である法人やその事業内容から不正計算が潜在していると考えられる法人に対して、調査官の人数と調査日数の十分な投入を行い、深度のある税務調査を実施する、いわゆる特別調査としてなされているものです。
4.特別国税調査官
調査第一部に、35人の特別国税調査官が属しています。特に規模の大きい組織を持つ法人で、国税局長の指定する法人の調査を担っています。
5.調査審理課
調査部の調査官による調査又は検査の結果の審理に係ることや、それらに係る不服申立て及び訴訟に関することを担っています。調査官が実施した調査の結果について税法や通達に則した処理が行われているかを、調査終了に際して決議書(調査結果報告書)に目を通しつつ、チェックします。そして、その調査結果に対する不服申立てが行われたとしても負けないよう、関係書類をそろえておくようアドバイスし、実際に不服申立てが行われたら、その内容を審理し、勝つためのアドバイスをします。
6.国際調査課
国際セクションは、国際調査課・国際情報第一課・国際情報第二課の三つに分かれているといわれます。これらの課は、法人による海外取引に係る税務調査を担っています。
調査部が実施する海外取引に係る税務調査の全体的な取りまとめや、事務の企画・運営を担っているのが、国際調査課です。主任国際税務調査官2人が属していて、複雑な海外取引事案の調査や指導に取り組んでいるほか、租税回避スキーム等の実態解明を行っています。また、特別国税調査官1人と外国法人調査部門4部門が設けられていて、外国法人の税務調査を担っています。
7.国際情報第一課
国際情報第一課は、移転価格調査の全体的な取りまとめや、移転価格調査事務の企画・運営を担っています。移転価格とは、企業が海外の関連企業との取引価格を通常の価格とは異なる金額に設定することによって、一方の利益を他方へ移転するのが可能となるような価格をいいます。日本の企業から海外への輸出について、関連企業への輸出時の価格を、関連企業ではない第三者会社への輸出時の価格より不当に安い価格に設定したときには、本来であれば日本企業の利益となるべきものがその外国の企業に移転されますから、日本の税収が不当に減ってしまうことになります。これを防止するために、設定された価格が適正な価格(独立企業間価格)か否かを調査しています。移転価格調査に従事するのは、特別国税調査官2人と国際情報部門3部門です。
8.国際情報第二課
国際情報第二課は、企業からの申し出により、当該企業が海外関連会社の取引をするときの設定価格が上記独立企業間価格に合致しているかに関して、事前の確認審査をしています。審査を申し出れば、企業の各種情報を国際情報第二課に示すこととなります。しかし、調査部門とははっきりと区別されていますので秘密は保持されていて、局内の事務室も調査担当部門の事務室から遠いところにあるそうです。確認審査の申し出から1ヶ月以内に審査に着手しているそうですが、結論に至るまでにはなお時間がかかると考えられますので、審査を申し出るのなら早めに行うことが重要です。
9.調査開発課
特別国税調査官及び統括国税調査官の実施する調査又は検査のうち電子計算組織による企業会計処理に係るものの指導並びにこれに必要な調査又は検査に関することを担っています。つまり、法人が、会計帳簿に関して紙ベースの帳簿から電子帳簿に変更しようとするときの申請の内容を審査して、内容が電子帳簿保存法に則したものであるかの判断をしています。
国・公共法人(地方公共団体にあっては都道府県に限ります)についての消費税の課税標準の調査及び消費税に関する検査のうち、国税局長が特別の調査又は検査をする必要があると認めた特命事項に係る調査又は検査に関わることを担っています。簡単にいうと、国や公共法人の消費税の調査を国税局が行う場合は、調査開発課が実施するということです。