提出された申告書を、税務署ではいかなるルートで回付するのでしょうか?

税務調査

提出される申告書は、税務署提出用、会社控え、会計事務所用の併せて3部です。書類での提出なら、管理運営部門、資産課税部門、源泉所得税部門、法人課税第一部門の各部門経由で、その法人を所掌する部門が整理します。電子申告なら、管理運営部門において受信し、書類での提出と同じようなルートで回付する場合等があります。電子申告が推進されている時勢ですので、電子申告に慣れることが大切です。

個人事業者や法人の代表者の方は、毎年、申告所得税や法人税の申告書の作成をし、税務署に提出しているでしょう。税務署では、提出済みの申告書をいかなるルートで回付するかというと、過去には税務署の総務課が申告書等の収受の窓口でしたが、平成21年7月に新設された管理運営部門で申告書等の収受がなされることとなりました。

法人税の申告書の例で、詳しく説明を行います。

1.書類での提出の場合
まず始めに、窓口の管理運営部門において、受付印として収受印を押します(余談ですが、収受印に関して、大きさや押印する際のスタンプの色は訓令により決まっています)。税務署提出用、会社控え、会計事務所用の併せて3部が提出されるのが通常ですが、それぞれの控えは返します。収受した申告書については、管理運営部門において売上金額・所得金額等の損益科目の各数字、資本金の金額や貸借科目の各数字をコンピューターに入力します。法人には番号が付されていて、その番号順に並べます。こうした番号は、法源番号と呼ばれる、法人納税者を管理する目的で設定された整理番号です。
入力を終えた申告書を、資産課税部門に回付し、申告書の別表2の株主の異動状況をチェックします。持株数に変動があるなら株式の譲渡又は贈与がなされたこととなり、譲渡所得税又は贈与税の問題が生じることになります。別表2は法人税の申告書のうちで2ページ目に綴じられていて、当該法人が同族会社であるか否かの判定をするに当たって用いられる表です。この表の下半分に、株主の住所、氏名、持株数等を書き記すことが可能です。
そして、源泉所得税部門に申告書を回付し、申告書の形式的な内容を簡単にチェックします。代表者の住所欄に書き漏れがある等の形式的で軽微な誤りであれば、その場で法人に電話をし、提出された申告書の訂正をし、会社保存の控えも同様に法人側に訂正してもらいます。
続いて、当該法人を所掌する部門に申告書を渡し、決算期順、法源番号順に整理することになります。並び順は、2月決算の法人からスタートし、1月決算の法人で終了します。

2.電子申告の場合
書類での提出の場合と同様に、管理運営部門で受信します。
事務処理については、税務署によって運営方法には若干違いがあるようです。申告書の必要な別表を数枚印刷し、綴じたものを書類での提出の場合と同じようなルートで回付するケースや、受信法人一覧表をそれぞれの事務系統に通知するケース等があると思われます。
それ以降は、書類での提出の場合と同様です。
それまでは書類での申告を行い、収受印の押された申告書の控えを眺めて、提出したと実感できたという代表者の方々は、電子申告を行い、収受印が押されていない受信通知を目にしても、申告したと実感することができないかもしれません。また、本当に税務署に届いているのだろうか等という気持ちになり、電子申告に抵抗感のある方もいらっしゃると考えられます。
しかしながら、もはやどこにでも電子の世界が広がっている時勢であるといえます。税務申告に関しても、同じことがいえます。時勢に後れないように留意しましょう。商取引を含む全てのことに影響があります。前向きに電子申告を利用するといいでしょう。