売上100億円超の大規模な法人の中で調査が困難である法人を受け持っている東京国税局課税第二部の料調(りょうちょう)一課。料調一課は、調査に着手するまでに事案の選定と準備調査をします。
法人税を担当している課税第二部の資料調査各課は、当局の職員から料調といわれています。料調一課が調査する事案は、どのような法人なのでしょうか。まずいえるのは、税務署が調査をしきれないほど大規模な法人であるということです。資本金の額は1億円に満たないとはいえ、通常100億円超の売上規模を誇り、各地に支店や営業所を有し、工場を海外に持っているといった大法人です。しかも、そのうち特に調査が困難であると思われる法人を選んで、調査を行っています。数多く存在する法人のうちからこのような法人を選ぶことは、事案の選定と呼ばれます。
その時々の経済情勢を勘案しながら、好況業種や不正計算が内在していると思われる業種等に着目し、申告書や決算書の分析を行いつつ、ベテランの実査官とその上司の主査が、事案の選定を行います。
事案の選定が済んだ後は、準備調査を行ってから、調査に着手することとなります。大規模法人ですから、全体的な調査を漫然と行うのではなく、申告書の内容を読み込んで分析し、調査の必要な項目を選び出します。申告書に書かれている取引先法人の申告状況を予め調査する等、その法人のみならず、取引先法人の事情についても、予め調査を行います。
徹底的な準備調査を行い、実際の調査をイメージし、考えられる多くの状況をシミュレーションします。次に、当該事案の担当実査官が全員を呼び集めて、準備調査の検討会を行います。他の実査官から多様な質問が出され、準備調査の不備に関わる指摘があります。そして、準備調査が終了します。
ここまで済めば、調査の半分ほどは終了した感じになります。続いて調査に着手して、イメージを基に行っていくことになります。
これで料調の実査官の努力を知っていただけたのではないでしょうか。実査官が調査すればかないません。したがって、常日頃から適正申告に努めるのが何よりも大切なことだと考えられます。